リンゴ病(伝染性紅斑)が増えています―― 2025年春

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―― 登園・登校の目安と 大人・妊婦さんが気をつけたいポイント ――

はじめに

こんにちは。春になったら自転車に乗るという目標をまだ達成できていない院長、鹿野です。
この 1〜2 か月で鹿野クリニックでは 10 例ほどリンゴ病(伝染性紅斑) を診察しました。

リンゴ病という名前はインパクトがあるので、耳にしたことがある方も多いでしょう。
一言で言えば「頬が赤くなる風邪の一種」で、症状は比較的穏やかなため大きな問題になることは多くありません。

ふだんは散発的にしか来ないうえ、頬の赤み以外は普通の風邪と区別しづらく、そのまま「ただの風邪ですね」で終わりかねません。ところが手足にうっすらと網目状の発疹が出ているのを見つけ、「これはリンゴ病ですね」と説明できたときは、内心で「ちゃんと診察している自分、偉い」と少しだけ誇らしくなります。

しかし今年は様子が違いました。明らかなリンゴ病の方が続けて受診し、「医師になってから、こんなに流行するのは初めてだ」と感じています。

国のサーベイランスでも動きははっきりしていて、2025 年第15週(4 月 7 日〜)の全国平均・定点当たり報告数は 1.13。過去 5 年間同週平均を大きく上回っています〔国立感染症研究所 IDWR 2025-15〕。
埼玉県では同じ週に 1.82/定点 とさらに高く、前週から急増したと報告されています〔埼玉県感染症情報センター 週報 2025-15〕。

リンゴ病とは

ヒトパルボウイルス B19 が原因の発疹性ウイルス感染症です。

  1. 潜伏期(1〜2 週間) 微熱・倦怠感など風邪様症状。
  2. 発疹期 頬が冬のリンゴのように赤くなり(蝶形紅斑)、半日〜1 日遅れで腕や太腿にレース状の発疹が広がります。
  3. 回復期 発疹が薄れ、かゆみを残して自然軽快。

発疹が出た時点ではウイルス量が急減しており、ほぼ他人にうつしません。基本的には風邪の一種なので特異的な治療はなく、発熱や風邪症状に対して症状を和らげる治療のみになります。

登園・登校は「熱・体調」で判断

  • 発疹が出たら感染力はほぼ消失。
  • 熱が下がり、普段どおり過ごせるなら 翌日から登園・登校可
  • 学校保健安全法でも「出席停止に該当しない感染症」と位置づけられています。

大人・妊婦さんはここに要注意

● 大人
‐ 関節痛・筋肉痛が強く、仕事に支障が出ることも。
対処:痛みが強いときは鎮痛薬+数日安静。長引く場合は受診を。

● 妊婦
‐ 妊娠初期〜中期の初感染で胎児貧血/胎児水腫の報告あり。
対処:患者の近くに妊婦がいる場合は 5 日ほど接触を避ける。妊婦本人が発疹や発熱に気づいたら産婦人科で抗体検査を。

よくある質問 Q & A

QA
兄弟にうつりますか?発疹前にはうつりやすいので、同居児への感染は珍しくありません。発疹期以降はほぼ心配いりません。
もう一度かかる?一度かかれば通常は終生免疫がつきます。
病院にはいつ行けば?① 高熱が続く ② 大人で関節痛が強い ③ 妊婦の初感染が疑われる ―― いずれかに当てはまるときは受診を。

まとめ

リンゴ病は “ほっぺが赤くなるちょっと珍しい風邪” です。頬の赤みが出た時点で感染力はほぼなく、症状は改善に向かっていますので、安心してください。

ただし

  • 大人の強い関節痛
  • 妊婦さんの感染リスク

この 2 点だけは頭の片隅に置き、気になるときは遠慮なくご相談ください。

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