インフルエンザ陰性でも安心できない?医師が疑う4つの病気
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こんにちは。鹿野クリニック院長の鹿野です。
「朝から関節が痛くて動けない。寒気もある。これはインフルだと思ったのに、検査は“陰性”でした。」
冬の外来では、こうした言葉を本当によく聞きます。検査が陰性だと少し安心する一方で、「じゃあ何の熱?」という不安が残る。
実は、インフルエンザによく似た症状を起こす病気はいくつもあります。医師はその瞬間、頭の中で別の可能性を探し始めます。
“陰性”は終わりではなく、次の診断の入口なのです。
ここでは、インフルエンザと見分けがつきにくい代表的な病気を4つ紹介します。
どれも「発熱」「全身のだるさ」「関節痛」などが共通しており、最初の印象ではインフルエンザとそっくりです。
ただし、その後の経過や症状の出方に違いがあります。
① キャンピロバクター感染症
インフルに似た点:発熱や関節痛から始まり、初日はまさにインフルエンザのような全身症状を示します。
ここが違う:1〜2日後に下痢・腹痛・ときに血便が出てきます。これが決定的な違いです。
診断と治療:鶏肉の加熱不足などが原因で、潜伏期が数日あるのが特徴。「最近1週間以内に焼き鳥などを食べませんでしたか?」という質問が診断の糸口になります。
水分補給を中心に整腸剤や下痢止めを調整し、重症時には抗菌薬を使用。多くは3〜5日で改善しますが、脱水を放置すると回復が遅れるため注意が必要です。
② マイコプラズマ肺炎
インフルに似た点:高熱と倦怠感が強く、初期は喉の痛みや頭痛など“風邪っぽさ”が中心。インフルエンザと非常に似ています。
ここが違う:熱が続き、咳が1週間以上止まらないのが特徴です。咳の割に痰が少ないことも多く、「長引く咳風邪」として受診されます。
診断と治療:聴診では音が少なくても肺炎が隠れていることがあり、必要に応じて胸部レントゲンや血液検査で確認します。マクロライド系やテトラサイクリン系抗菌薬を内服し、回復にはやや時間がかかります。安静と十分な睡眠が重要です。
③ 咽頭結膜熱(プール熱)
インフルに似た点:突然の高熱と喉の痛み。初期はインフルエンザや溶連菌との区別がつきません。
ここが違う:数時間〜1日遅れて目の充血や目やにが出てくること。喉と目の症状がセットなら要注意です。
診断と治療:アデノウイルスの迅速検査で診断します。特効薬はなく、解熱剤やうがいで症状を和らげながら経過を見守ります。発熱は3〜4日、目の炎症は1週間ほどで落ち着くのが一般的です。
④ 腎盂腎炎
インフルに似た点:高熱・悪寒・全身のだるさ。見た目は完全に“風邪やインフル”のように見えます。
ここが違う:腰や背中の痛みを伴うこと。女性では排尿時の痛みや頻尿が手がかりになることもあります。
診断と治療:インフルエンザ検査が陰性でも体調不良が続く場合、尿検査を追加して腎盂腎炎の有無を確認します。尿中に白血球や細菌が見つかれば診断に結びつきます。
治療は抗菌薬の内服または点滴。熱は2〜3日で下がることが多いですが、菌が完全に消えるまで1週間ほどかかるため、自己中断は禁物です。
院長より
インフルエンザの検査が陰性でも、症状が強くてつらいとき。
「陰性=終わり」ではなく、「陰性=次の出発点」として診断を組み立てます。
以前も、発熱で来院された方が「インフルじゃなくて意外でしたけど、原因がわかって安心しました」と笑って帰られました。原因がわかるとおちつきますよね。
こうした様々な原因を考え、正しい診断に結びつけるのは、全身を診る家庭医の腕の見せどころだと感じています。
まとめ
- 陰性=病気がない、ではない
- 熱が長引く・咳が続く・下痢や目の充血・腰痛などがあれば再診を
- 症状の変化を観察することが、最良の治療への近道