OTC類似薬の自己負担増で何が起こる?
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こんにちは。鹿野クリニック院長の鹿野です。
12月25日、厚生労働省は、市販薬と成分や効果が似ている「OTC類似薬」について、新たに自己負担を求める方針を示しました。
読売新聞によると、対象は77成分。
ロキソニン、アレグラ、マグミットなど約1100品目が含まれ、2027年3月から薬価の4分の1に相当する金額が上乗せされる予定です。
※OTCとは、ドラッグストアなどで処方箋なしに購入できる市販薬(かぜ薬や鎮痛薬など)のことを指します。
制度の説明だけを見ると、「医療費を抑えるため」「公平性の確保」という理由で、理解できる面もあります。
ただ、外来の現場では、患者さんが戸惑いやすい場面が増えるのではないかと感じています。
外来で起きそうなトラブル
診察室で、
「じゃあ、いつものお薬をお出ししますね。」
――会計を終えて帰宅してから、
「……あれ? いつもより高い?」
「追加料金がかかっている?」
「それなら、別の薬にしてもらえばよかった……前もって言ってくれれば良かったのに」
薬の制度は複雑で、診察中に細かい仕組みまで確認するのは簡単ではありません。
気になって、後からクリニックに電話をかける。
こうした患者さんが感じる「ちょっとした違和感」は、増えていく予感がします。
医師はOTC類似薬の処方を避ける?
こうした行き違いを避けるため、医師は無意識のうちに、
「説明が必要になりそうな処方」
を避けるようになり、その結果、
OTC類似薬は、同等の効果を持つ別の薬に置き換えられていく可能性があります。
- ロキソニン® → セレコックス®
- マグミット® → モビコール®
- アレグラ® → アレロック®/デザレックス®/ビラノア®
もちろん、似た成分であっても、患者さんごとに
「効く・効かない」「合う・合わない」
という違いがあり、一筋縄ではいきません。
こうしたことにより、必ずしも計画したほどの医療費削減につながらないのではないかとも危惧しています。
制度上の「配慮」は、現場では「待ち時間」になる
今回の議論では、
「OTC類似医薬品を用いた場合でも、特別な自己負担を求めるべきではない患者さんがいる」
という考え方が示されています。
対象としては、
- 18歳以下の方
- 医療費について公的な支援を受けている方(指定難病患者など)
- 長期にOTC類似薬を使用せざるを得ない方(アレルギー疾患など)
- 入院中の患者さん
などが想定されています。
こうした例外事項により、現場では対象者や薬剤ごとの確認が増え、
医療事務がさらに複雑になり、
- 会計での待ち時間が長くなる
- 窓口での確認作業が増える
といった形で、患者さん側の負担につながることも。
「何兆円の医療費が削減される」といった大きな数字が先行して語られる一方で、
医療の現場で起こる患者さんや医療機関の負担の増加についても、
併せて議論される必要があると感じています。
まとめ
OTC類似薬の自己負担増は、制度上は理解できる一方で、
どうしても必要で内服している患者さんの治療費が高額になったり、
例外事項に伴う確認作業や会計での待ち時間が増える可能性もあります。
鹿野クリニックでは、制度の変更が患者さんの負担につながらないよう、
引き続き、会計や説明の流れをできるだけ円滑にする工夫を続けていきます。