『町医者2.0』制作のきっかけ
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8月8日に『町医者2.0 病気やケガのよくある症状を診察室でぜんぶ聞いてみた』を発売しました。
「どうして本を出そうと思ったのですか?」
そんな質問をいただくことが、これまで何度かありました。
この問いは嬉しいものであるのと同時に、つい熱くなってしまい逆にうまく伝えるのが難しいものでもあります。
今回は、その答えを少し丁寧にお話ししようと思います。
家庭医ってなに?という質問の難しさ
最初に「町医者2.0」を書こうと思った瞬間は、何か特別な出来事があったわけではありません。
前々から「本を出してみたい」という気持ちはあったのです。
家庭医療についての一般向けの本は少ない。家庭医ではない医師や患者さんにとって、なぜ家庭医が必要なのか、どんな点で役に立つのかが、わかりやすく説明されていないのが現状です。
「家庭医療ってなに?」という質問はよく受けるのですが、すっと腹に落ちるようなわかりやすい説明というのがあまり思いつかず、こちらの熱意ばかりが空回りしてしまう、そんなことが何度もありました。
家庭医療の良さを知ってもらえれば、多くの患者さんは「利用したい」と思うはずです。それが十分に伝わっていないのは、もったいないことだと思いました。
出版への憧れ
私が参加する勉強会でご一緒した開業医の先生の中には、本を出版している方が何人もいます。
「出版すると世界が広がるよ」という言葉を聞かされ、自分もいつかは挑戦したいと思うようになりました。
もちろん「まだ自分が書くのは早いんじゃないか」という気持ちもありました。
しかし一方で、「失敗するにしても、どうせやるなら早く書いて、その経験を活かせばいい」とも考えました。
発信の必要性
野木町で診療を続けるうちに、患者さんは着実に増え、地域に根付いた診療ができている手応えはありました。
しかし、増える患者さんに対応するには自分一人の診療にも限界があります。医師の求人を出しても、当院の診療の特徴や目指す方向が伝わらず、結果として応募が少ない。本という形でメッセージを発信することで、当院に興味を持ってくれる先生が増えるはず、そんな思いもありました。
では、誰に向けて書くべきか――。
医師向けか、患者さん向けか、最後まで迷いましたが、患者さん向けにわかりやすく家庭医を説明した本がないと気づき、方向性が固まりました。
症例をどう伝えるか
「この患者さんとのやりとりが執筆を決めた理由です」という特別な出来事はありません。
ただ、一般の方向けの講演会をするときには、ひとつの症例を短く説明したり、患者さんと医師の会話を入れて臨場感を出すようにしていました。
本を書くときも、そのスタイルを活かそうと思ったのです。
実は、テーマは決まっていても「どんな症状を取り上げるか」という悩みは最後まで残りました。
症例を選ぶたびに、「これって多くの人の役に立つだろうか?」と自問自答を繰り返していました。
今振り返って思うこと
あの時の決断は、結果として大きな転機になりました。
出版準備は決して楽ではありませんでしたが、「家庭医療を知ってもらいたい」という思いをなんとか形にすることが出来ました。
その中で制作会社の方々や、帯を書いてくださった呂布カルマさんなど色々な方のご協力もあり、医療の本としては結構面白い雰囲気に。
ぜひ読んでみてください
- 家庭医の役割を知りたい方
- 健康について日頃から相談できる関係を作りたい方
- 医師の働き方や地域医療に興味がある方
こんな方に、ぜひ手に取ってほしいと思っています。
クリニックでも試し読みができますし、オンラインでもご購入いただけます。
まずは目次だけでも見てみてください。きっと、気になる話題が見つかるはずです。