かかりつけ医の「名医の条件」

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こんにちは、院長 鹿野です。かかりつけ医は、患者の皆様と、定期的な通院や風邪などでの受診、予防接種など、さまざまな局面で、長くお付き合いすることになります。そのためどんな医師がかかりつけ医の「名医」なのか、気になる方も多いかと思います。ある程度の経験を積んだ医師であれば、一般的な診断や治療の知識・技術を備えていますが、それだけで「名医」とはいえません。今回は家庭医療専門医として、また、クリニックの経営者として、私が考える「名医の条件」についてお話しします。

①多様なジャンルに通じている

名医は、医学知識だけでなく、趣味や生活習慣についても幅広い知識や関心を持っています。医師は、疾患そのものを診るだけではなく、患者さんの全体像を理解して適切なケアを提供する必要があります。例えば、医学的にはある治療法が最適であっても、患者さんの生活スタイルや価値観にそぐわなければ、それは良い医療とはいえないのです。

また、私が尊敬する生坂正臣先生の言葉を借りれば、医療は「それが将棋なのか囲碁なのか、はたまたチェスなのかも分からない状態で最初の一手を打たなければならないゲーム」のようなものです。将棋だけ、チェスだけ、というように一つのゲームの深い知識があっても太刀打ちできません。幅広いジャンルへの興味・関心を持てることが名医の条件なのです。

② 組織の指揮者になる

漫画やドラマ、テレビなどではよく「名医」という言葉が使われますよね。これは医師一人の力で良い医療が提供出来る、という印象を与えます。例えば、手塚治虫の漫画「ブラックジャック」では、主人公の外科医は、ピノコの補助だけでいろいろな病気を治してしまいます。
ただ実際には、医療はチームで行われるもので、看護師、検査技師、事務スタッフ、調剤薬局の薬剤師など、多様なスタッフが関わっています。医療チームが協力して機能することが、患者さんに継続して質の高いケアを提供する上では不可欠です。
医師がチームのリーダーとして果たすべき役割は、ただ指示を出すことだけではなく、各メンバーがその能力を最大限に発揮できるような環境を整えることです。定期的なミーティングの開催、教育研修、そして働きやすい職場環境を作ることなども重要です。
現代の名医とは、個人の技術が優れているだけでなく、チーム全体を構築し、機能させるという能力を持つ医師の事だと思います。

③ 攻めと守りのコミュニケーション

名医は「守り」と「攻め」の両方のコミュニケーションを使いこなしています。これは私の造語なのですが、守りのコミュニケーションとは、上手に症状を聞き出したり、正確に病状を伝えたり、質問に誠実に答えたりする、といったような、患者さんを安心させるためのものです。体調不良や不安を抱えた患者さんには、安心できる対応が何よりも必要ですが、守り一辺倒のコミュニケーションでは冷たく、機械的に感じられてしまうことがあります。これに対して、攻めのコミュニケーションは、雰囲気を和らげ、患者さんとの距離を縮めたり、楽しませる事ができるようなコミュニケーションです。正しい情報や知識を話すわけではないが、話を聞きたくなる人っていますよね。このように、状況に応じて攻めと守りのコミュニケーションを使いこなす技術は、名医の条件といえます。

④ 松本先生の考える「名医の条件」

当院の非常勤医師で、素晴らしい家庭医療専門医である松本先生にも聞いてみました。
①適切に問診をした上でマネジメントを考える
②自分の限界をしり適切に紹介できる
③他の医師/病院の方針を否定しない
の3つを挙げてくれました。なるほど。良いこというなぁ。
特に②は自分も名医の条件として、重要な要素だと思いました。

まとめ

さて、今回は私の経験に基づく、かかりつけ医の「名医の条件」をお話しました。皆さんにとってなるほど、とうなずけることもあれば、意外な事もあったのではないかと思います。また、名医であってもいつも、だれにでも合うというわけではないでしょう。難しいですね。

現在体調に不安のある方、かかりつけ医でお悩みの方にとって、病院選び、かかりつけ医選びの一助になれば幸いです。

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